あらすじ
物語に登場するような“陰の実力者”に憧れ、人知れず鍛錬を続けていた少年。
しかし現実では、いくら鍛えても銃弾に耐えることはできない。限界を悟った彼は、未知の力「魔力」を求め、ある夜、遠くに揺らめく光を“魔力の輝き”と勘違いして飛び出し、命を落とす。
異世界でシドとして転生した彼は、魔力のある世界に歓喜し、鍛錬の傍ら“シャドウ”を名乗って陰の実力者ごっこを始める。適当に作り上げた設定を信じる仲間たちが集まり、やがてその“遊び”は世界の闇と対峙する戦いへと変わっていく——彼の自覚がないままに。
評価
| 絵の美しさ | (4) | 
|---|---|
| 演出力 | (3) | 
| キャラクター | (5) | 
| 世界観 | (3) | 
| ストーリー | (4) | 
※評価は筆者の主観に基づくものです。
                    総合:
                    3.8 / 5
                    
                  
                書評
異世界ファンタジーを題材に、主人公最強ものと勘違いコメディの二軸で展開する物語。
陰の実力者にあこがれた主人公シドは、厳しい鍛錬を積み、圧倒的な能力を手に入れている。
戦闘シーンではその力を遺憾なく発揮し、スタイリッシュかつ爽快に敵を打倒していく。
そのかっこいい姿とは裏腹に、普段はモブに徹することに心血を注いでいる。
モブらしく見せるための奥義はユーモラスで軽妙。
物語はこの二つのギャップを行き来しながら、テンポよく進んでいく。
シドが思いつきの設定で始めた“陰の実力者ごっこ”は、配下を得たことで加速していき、
やがて大勢の人間を率いて世界の闇と対峙する壮大な戦いへと発展していく。
ただしシドは、仲間たちの行動を“迫真の演技”だと勘違いしたまま、
その戦いの中心へと飛び込んでいく。
何も考えずに読める軽快さも魅力のひとつ。
シリアスとギャグが切り替わるテンポのよさと、爽快感を求める人におすすめ。
