転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます
あらすじ
魔術を何よりも愛しながら、家柄と才能に恵まれず命を落とした青年。
記憶を持ったままサルーム王国の第七王子ロイドとして転生した彼は、幼い頃から魔術書を読み漁り、研究を重ねてきた。
やがて、魔術に関して化け物の領域に達したロイドは、かつてこの国を滅亡寸前まで追い込み、禁書庫に封印されたとされる魔人を従え、今日も気ままに魔術を極めていく。
評価
| 絵の美しさ | (4) |
|---|---|
| 演出力 | (5) |
| キャラクター | (5) |
| 世界観 | (3) |
| ストーリー | (4) |
※評価は筆者の主観に基づくものです。
書評
読んでいてまず圧倒されたのは、ロイドの“すごさ”の見せ方だ。
異常な魔力量は、深淵の化け物のような黒ずんだ存在としてビジュアル化され、
ゾクゾクするような底知れぬ力が伝わってくる。
呪文の詠唱を凝縮しすぎて、セリフがもはや文字ではなく黒く塗りつぶされた塊で描かれている。
そうした演出のひとつひとつが、言葉では説明しきれない魔術の異常性や禍々しさを巧みに表現している。
線の自由さと勢いが印象的で、構図に独特の伸びやかさがある。
精密で型にはまった描写ではなく、動きを感じさせる描き方で迫力を生み出している。
ページ全体にエネルギーがみなぎり、思わず目を奪われるような躍動感がある。
ロイドというキャラクターも強烈だ。
前世では魔術を誰よりも愛していたが、血筋と才能に恵まれず、
最期は貴族の放った魔法で焼き尽くされるという痛ましいものだった。
それでも彼は、死の間際に“貴族の魔術を体感できた”ことを喜んでいたほど、魔術への探究心は深い。
その狂気じみた情熱は転生後も変わらず、危険を顧みずに魔術の探究へ没頭する。
その“異常なまでの純粋さ”が、ロイドを誰よりも魅力的なキャラクターにしている。
そして、ふざけた場面で見せる極端にデフォルメされたロイドの姿がまたかわいい。
無邪気さと化け物じみた強さ、大きなふり幅を持ったロイドのキャラクター性もこの作品の大きな魅力の一つだ。
