報いを果たす主人公たち｜復讐系ファンタジー漫画7選【レビュー付き】

いじめを苦に自殺したマサムネ。
しかし死んだはずの彼は、かつて自分をいじめていたクラスメイトたちとともに異世界へ召喚される。
そこで「役立たず」と断じられ、転移魔法によって死地へと捨てられたマサムネは、強い怒りを覚え、復讐を誓う。

召喚した国への報復は一切の容赦なく行われ、積み重ねた怒りを行動で示す。
一方で、旅の中で出会った仲間たちとの交流を通じ、少しずつ温かな信頼関係を築いていく。
憎しみだけで終わらない、復讐と再生の物語。

かつて勇者として世界を救ったラウルは、仲間の裏切りによってすべてを失う。
愛する者たちや味方を虐殺され、自らも命を落とした彼は、死の淵で闇の力を得て蘇る。
そして掲げたのは、「悪人を粛清し、世界を浄化する」という信念。
あまりにも残虐な敵役の数々と、一切の容赦なく復讐を遂行するラウル。
これぞ復讐譚と言える――圧倒的純度を誇る作品だ。

VRゲームの世界に囚われた数万人。 最強プレイヤーの一人として知られていたカミュは、ふざけて装備したネタ装備「福笑いの袴」によって、 200cm・200kgの巨体になった状態で、ゲーム世界から抜け出せなくなる。 重量により、常時ステータスが大幅に減少し、糸使いとしての能力をほぼ失ったカミュ。 まともに戦うこともできず、町の外に出ることすらままならない。 その姿を嘲笑い、迫害した一部のプレイヤーたちによって、名誉と尊厳を踏みにじられた。 ――彼は誓う。「必ず報いを与える」と。 失った力を取り戻し、正体を隠して動き出すカミュは、 かつて自分を侮辱し、危険にさらした者たちをひとりずつ追い詰めていく。 かつての最強が、“死神”として静かに復讐を遂行していく。

心優しき聖女は、勇者一行の旅に同行していた。
だが勇者の求愛を断ったことで逆上され、瀕死の重傷を負わされる。
息を吹き返した彼女に止めを刺したのは、嫉妬に駆られた三人の仲間たち。
拷問の末に殺害され、井戸へと遺棄された。

やがて聖女は怨霊として蘇る。
凄惨な事件などなかったかのように、英雄として順風満帆の生活を送るかつての仲間たちの周囲で、
少しずつ不可解な現象が起こり始める。
それはやがて彼らの心を蝕み、異変は王国全体へと広がっていく。

スカッとする爽快感ではなく、読後に残るのは重苦しい余韻。
復讐譚でありながら、ホラーとしての側面が強い作品。
※序盤には性暴力を含む残酷な描写があるため、苦手な方は注意。

魔王を倒し世界に平和をもたらした勇者と賢者は、反逆者の汚名を着せられ処刑された。
平和への理想を踏みにじられ、失意の中命を落とした賢者は、死者の谷でアンデッドとしてよみがえり、
10年の時を経て王国へ反旗を翻す。自身が巨悪となり、世界平和の礎となる——復讐系ダークファンタジー。

処刑を主導した国王を討ち果たすまでの展開は容赦がなく、復讐譚としての純度が高い。
一方で、復讐を果たした後も「世界の歪みを正す」ために戦い続ける姿が印象的で、
恨みを理念へと昇華した、理性的な復讐譚として異彩を放っている。
爽快な勧善懲悪の物語とは一線を画し、やるせなさと虚無感が余韻として残るのも本作の特徴だ。

いじめを受けていた高校生・坊地日呂は、突如“ダンジョン化”した世界で「ショップ」スキルに覚醒する。
スキルを駆使して生き抜く、現代サバイバルファンタジー。

作品のサブタイトルに“ざまぁ”と書かれているが、復讐を軸にした物語ではない。
理不尽な目にあいながらも、相手を殺したいほど憎んでおらず、理不尽を受け流す強さが印象的。
ゆるぎなき意志で自らの道を行く、静かな強さを持った芯の強さが描かれている。

神に送られ異世界転生を果たした野崎人志。通称「野人」。
チートも、なぜか衣服さえもない状態で森の中に放り出された彼は、持ち前の空手の技術とサバイバル知識を頼りに異世界での生活に挑む。
モンスターの脅威や、組織だった人間たちの理不尽な暴力にさらされながら生き抜いていく、異世界サバイバルの異色作。

復讐というより、自身の身を守り立場を確かなものにするための“報復”が中心。
なめられたら終わりの冒険者稼業で、敵対する者にはきっちりとけじめをつけさせる。
命を狙ってくる相手は例外なく命をもって償わせるが、敵が組織や権力の場合は逃げざるを得ない場面も多い。
報復の後に続くのは、終わりの見えない逃亡生活であり、単純なスカッと感を求める読者にはヘビーな展開が多いと言える。